王子様とブーランジェール
抱き締めるタイミングとか何とか
『…全員、皆殺しだ!!』
俺が奴らにそう吠えた後。
瞬く間に野球部のグラウンドは、戦場と化した。
人の動きで、砂埃が舞う。
「…そっちに行った!今だよ!」
「了解!」
複数の女子で、不良ども二人を囲む。
女子の一人が投網バズーカを発射して、視界と体の自由を奪われた不良二人は、お互いと網にもつれてすっ転んだ。
そこをあっという間に叩いている。
連携が取れた投網バズーカ班の攻撃は続いていた。
「…じゃあ、俺達もいっちょ遊びますか?」
「厚雅。パンツのことは一回忘れろ」
「当たり前!…って、おい!謹次!」
松嶋の芸人…いや、ヤンキー友達が腕を回してヤル気十分。
だが、黒髪短髪の謹次はすでにもうケンカの渦へとダッシュして行った。
バヤセ不良連中を相手に、すでに足を振り上げ、殴る蹴るの応戦をおっ始めていた。
リーチが長くパワーがあるのか、蹴り一撃で相手がぶっ飛ぶ。
倒れた相手を掴み上げては、豪快にぶん投げる。
周りにいた奴らは、あっという間に地に倒れた。
「…人数増えてきましたね。狭山さん」
松嶋は、俺を挟んで向こうにいる狭山にボソッと呟く。
「あははは!…想定の範囲内だバカめ!遅刻だろ!」
そう言って、狭山は俺達に近付いてきた複数の不良に対して、金属バットでフルスイングをする。
それは相手の腹ど真ん中に炸裂し、吹っ飛ばす。
と、思ったら、直ぐ様飛び上がり、隣のヤツの頭を狙いバットを振り下ろす。
鈍い音と相手のうめき声が聞こえた。
「…重徳!厚雅!…奴さん新たに増えたぞ!謹次はほっといていいから、そっち!」
松嶋が、校舎の陰に新たに現れた緑ブレザー連中の方を指差してパンツ星人たちに指示をする。
「おーおー!言われなくてもおけまるー!」
「改めて。…いっちょ遊びますか?」
すると、二人の目付きが変わる。
ギラギラとした、獣のような目付きに。
そして、一目散に緑ブレザー連中のもとへとダッシュする。
赤髪の重徳が、奴らの手前で踏み切って飛び掛かる。
足を振り上げながら、奴らの渦の中へと突っ込んでいった。
続いて金髪の厚雅も、突っ込んでいくなりバタバタと拳を奮う。
顔つきはもう、あのだらしない変態パンツ星人ではない。
血に飢えた、ギラギラとした獣のようだ。
「…は?!紋中四天王っ?!」
「何でおまえらがここに?!」
「お祭りとかレクリエーション大好きだし!」