王子様とブーランジェール




「竜堂くん、どういうことなの?!」



俺に追い払われ、一歩後ろに下がっていた女子たちの一人が、再び前に出てくる。

なぜか、眉間にシワを寄せている。



どういうことなの?!って…?

…どういうことかは、こっちが聞きたいんすけど。



その質問の返答に困っていると、更なる質問をぶつけられる。



「…だって、だって!竜堂くん、その女に付きまとわれて困っているんでしょ?!」

「…は?」



やはり、そう来たか。

何なんだ、そのガセネタ。

そのガセネタが、嵐さん発だと思うとげんなりする。

だが、ますますげんなりさせられるガセネタが次々と発覚するのだ。



「だって、その女、幼なじみだからって竜堂くんと近い存在だからっていい気になってるって!」

「竜堂くん、ストーカーされて迷惑してるんでしょ?!」

「竜堂くんはミスターだし?彼女気取りで偉そうにしてんのよ!単に小学校中学校同じだっただけでしょーが!」



やはり、そのネタが本命なのか。

いい気…に、なってほしい。ストーカーもしてほしいよ。

彼女気取り?どうぞどうぞ。

だが、残念。桃李は何も考えてない。

俺のことなんて、全然興味ないぞ?…って、やめて、そのガセネタ。ちょっと惨めだ。

「それに、わざと竜堂くんの前でドジ踏んでるんでしょ?!わざと転んで助けて貰ってるって聞いたよ!竜堂くん、優しいから…」

「計算高っ!悪い女だわ!」

「挙動不審で気持ち悪いくせに!」

いやいや。

むしろ、桃李がそのぐらいの計算が出来るぐらい、賢い女になってほしい。

その挙動不審ぶり見たらわかるだろ。バカだって。

バカ卒業してほしい…いや、どうだろ。

バカ卒業してドジ踏まなくなったら、俺の出番が無くなる…。

複雑だ。




「竜堂くんのことストーカーしながら、他の男とも一緒にいたり、たぶらかしてるって!空手部の高瀬のことも弄んでるってさ!」

「何?男好きなの?!最っ低!」



高瀬を弄んでる…それ、ワラだよ。w←このマーク使いたくなるよ。

ゴリラを弄んでどうするんだ。動物園のショーか。

むしろ高瀬が桃李のストーカーだぞ。ゴリラストーカー。

残念。桃李はゴリラにも興味ないぞ?

…っつーか、男好きで最低とか、たかが俺みたいな男一人のことでムキになっているおまえらが言うんじゃない。




げんなりしながらも、心の中でツッコミを入れてしまう。

ガセやないかい!ってな。

…だが、そんな余裕もなくなることが明かされるのだった。



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