王子様とブーランジェール




やっぱり、そう簡単にはうまくはいかない。

今後が不安だよ…。



一度、不安を、感じれば。

不安なことは次々と起こる。




「…ちょっと待ちなさいよぉーっ!!」



再び、教室のドアが勢いよくガラッ!と開いた。

ドアの向こうには、先程、キャラ総崩れ、ビッチ丸出しになった彼女がいた。

ものすごい形相でこっちを見ている。

な、何だ…?



「…竜堂くん、よくも言いたい放題言ってくれたわね…?さすが、王子様?小生意気すぎて、可愛いわ…?」

そんな鬼の形相で言われても、恐ろしいとしか思えない。

怒ってる…のか?

「…カッコよすぎて、ますます好きになっちゃったわよ…?王子様?」

「え…」


これは、どういうことなのか。

この流れ、俺はどうやら。

この彼女を、撃沈させるどころか。

元気にしてしまったようである…。



「…絶対、落としてやる…」



もう、再び絶句だ。

この勢い。

女豹、色情魔はもう可愛い。

…魔女だ!魔女!



「そっちの方から『抱かせて下さい!』って、言わせてやるんだからねっ!覚悟しなさいよぉっ!王子様ぁっ!」



そう怒鳴り散らして、嵐さんは、走って立ち去った。

いったい何なのだ、あのビッチ。




しかし、今の宣戦布告。

ちょっと、バツが悪い。

こんな、教室で叫び散らしやがって…。

教室、静まり返ってしまった。




桃李が聞いていた、と思う…。



チラッと振り返ると、黒沢さんと二人でやはり、こっちに注目している…!



桃李だけには、見られたくなかった…。

聞いて欲しくなかった…。





不器用な愛を掲げながらも。

ずっと駆け抜けていく…ことが出来るんだろうか。




…いやいや。

まだ、スタートラインに立ったばかり。










baKed.2 eNd
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