王子様とブーランジェール
反省してるって…少なからず、自分にも非があると思ってるんだ。
何もしてないのに、ただ巻き込まれただけなのに。
やっぱ優しいじゃん。
この人がキャプテンで良かったな…なんて。
『ミスターに絡んでいったのも、ミスターカップルは幼なじみ同士だからだと思う。同じ幼なじみなのに…ってのが、少なからずあったんじゃないかって』
『だから、ミスターは気付いたんですか』
蜂谷さんは、大きくため息をつく。
『とりあえず、今度話してみるわ。真剣に。みんなの前で化けの皮剥がされて相当参ってると思うから』
『化けの皮、ですか…』
『あいつはそういうやつなの。まあ…クリティカルヒットは俺がやったんだけどさ…』
よくわかってるんだな。
『…そういうワケで。おまえを巻き込んでいろいろ悪かったな。…じゃ、おつかれー』
そう言って、蜂谷さんはのそっと立ち上がる。
両手でトレーニングパンツについた土をほろっていた。
話が終わったように思えただろうが。
…これで、帰すワケがない。
まだ、話すべき事があるだろうが!
『…ちょっと待ってください?』
『…ん?…えっ』
その場を去ろうとした蜂谷さんに手を伸ばす。
トレーニングパンツを掴んでしまい、ズリッと少し下がってしまった。
ちょっとパンツ見えた。
『…ん?ん?何?何?』
掴まれて引き留められて、蜂谷さんは俺と掴まれたパンツを交互に見る。
ここで帰ってもらっちゃ困る。
『…蜂谷さん、俺、まだ聞きたいことあるんですけど』
『え?…何か、あったっけ?』
とぼけてんの?本当に忘れたの?
この何を考えてるかわからない男!
『…桃李の頬を舐めたという話ですけど…』
この事件の発端となった出来事を、忘れてもらっちゃ困るんだよ!
もう関わるなと言っておきながら。
何があったのか、その話は真実なのか知りたい。
桃李のことが、どうでも良くなったワケでは…ないから。
桃李の身を案じて、こっちから身を引いただけであって、嫌いになったワケではない!
『…あ?…あー。その話?それはホントのことだけど…』
『………』
『…え?何か怒ってる?何で何で?』
『俺が怒ってるとか何とかは関係ないですよ…』
『なーんちて。竜堂が桃りんのこと好きなのは、何となく気付いていたけどな。ごめん』
『…それは、いいから!』