王子様とブーランジェール
baKed.3 王子様と髪ピョン男の奇襲
ジェラシー全開王子様
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baKed.3
王子様と髪ピョン男の奇襲
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「…あーっ。アイス食いたくね?」
陣太からの突然の提案で、昼休み始まり早々、咲哉と理人含めて売店へと向かっている。
6月ももう一週過ぎたこの時期。
北国はまだ涼しさが残る時期なんだけど。
今日はやたらと気温が上昇。
教室内は一気に熱地獄となった。
そんな中だから、アイスを食べたくなったらしい。
「もう夏来るぜー?夏。夏休み」
咲哉は何だか嬉しそうだ。
夏に何を期待してるんだか。
「夏休みの前に、宿泊研修と学校祭あるじゃん」
「へー。イベント目白押し?」
だらだらと階段を降りながら、世間話。
宿泊研修は来週だったはず。
次の週はテスト。
で、来月の中旬頃には学校祭。
「学校祭って何やんの?」
イベントにあまり興味がないため、いちいち内容を覚えてられない。
「縁日風に飾って駄菓子売ったり、射的場作るって」
隣にいる理人が的確に答えている。
「ふーん…」
「あれ?夏輝、興味なし?」
「ぶっちゃけ、ない。センスねえからよ?力仕事に徹するわ。肉巻きおにぎり屋だったら、頑張って肉巻きおにぎり作るけど」
「肉巻きおにぎり…夏輝、得意だもんな」
「肉巻きおにぎりのタレの味は、誰にも負けねえ」
そんな他愛もない話をしながら、心の中では『アイスを買うか?やっぱり鉄板のパンにするか?』なんて、考えながら階段を降りる。
パン食いたいけど、売店のパン、あんまり美味くないんだよな。
売店のあんパン買うぐらいなら、パンダフルで塩あんパン買いたい。
しかし。
階段から降り立った時。
売店の辺りが、いつになくざわついていることに気が付いた。
何かあったか?
「何か、モメ事?」
「人集まってる」
男子の荒げた声が、何となく聞こえた。
売店の方へと足を進める。
人だかりが出来てるな。
もう少し、足を進めると。
モメ事の現場が見えてきた。
(…はっ?)
モメているのは、男子生徒と、女子生徒。
男子生徒は、体がデカいゴリラみたいなヤツ。
しかし。
女子生徒の方は、よく知っているヤツだったりする…。
「てめえ!これどうしてくれるんだ!この眼鏡ブス!」
「ご、ごごごめんなさい!」
ゴリラみたいな男子生徒に詰め寄られ、小さくなって挙動不審になっている。
天パでボリューム満点のライオンのような髪型。
銀縁の眼鏡。
オーバーサイズの夏服のニットベストに、膝下丈のスカート。
「…あぁ?!謝ってるだけかこの!」
怒鳴られると、体をビクつかせていた。
桃李…。
何してんだ…と、いうよか。
何したんだ?
何をしてゴリラ男子を怒らせた?
またか…。