王子様とブーランジェール
…え?
また明日。したっけねーって。
話、終わり?
え?え?ちょっと待って。
ここで、この話、終わりなの?
俺、まだ何も話、してないけど。
桃李ばかり一方的に話しやがって。
ちょっと…待てって。
桃李はすでに、俺に背を向けてその場を離れようとしているが。
何故か、ものすごく一方的に話をされて…告白されて。
勝手に話を打ち切られた感がある。
え?俺の話は…?
その時。
桃李が手にしているスタンガンが目に入ってしまった。
…おまえ!それを持って、屋上を出る気か!
「…桃李いぃぃっ!…ちょっと待てえぇっ!」
久々の怒声をあげてしまう。
すると、ヤツは「ひっ!」と悲鳴をあげ、ビクッと体を震わせて立ち止まった。
俺に背を向けたまま。
立ち止まったのを確認して 、その背中へと大声で呼び掛ける。
「…桃李、待て!…話は終わってない!」
しかし、ヤツは。
「…ま、ま、待ちません!」
「は、はぁっ?!」
待たない?…何っ!
「な、何でだよ!話は途中だろが!…スタンガンは置いていけ!」
「は、話は終わりです!」
な、何で?!
何故、桃李が話をここで終わらせるのかが、わからない。
まさか…スタンガンを渡したくないからか?
いや、渡してもらうけど(…)待ってほしい理由はそれだけじゃない。
俺だって…伝えたいことがあるんだ。
桃李の背中に向かって、必死に呼び掛ける。
「桃李!…今そっち行くから、そこで待ってろ!」
こんなフェンス越しじゃ、伝わるものも伝わらないと思い、引き留める。
しかし、ヤツは背を向けたまま、首を横に振った。
そして、こっちを振り向くことはなく、そのまま走って屋上の階段室へと姿を消す。
「…と、桃李!…待て!…おい!」
な、何で?!
何で待ってくれないんだ?!
「桃李!…桃李!」
baKed.8 eNd
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