王子様とブーランジェール
商店街町内会?私のグループそこなの?
自分のことのはずなのに、自分がわかってないって…。
集合場所となっていた図工室にはたくさん人がいた。
イケメンの後ろに続いて中に入る。
『…あ、神田、集団下校初めてだろ?』
『え!あ、はい…』
イケメンに不意に話し掛けられ、ビックリしてしまう。返答がごにゃごにゃになった。
『だからわかんないのかなーと思ってさ?』
『あ、はい…す、すみません…』
わかんないと思って、声掛けてくれたの?
イケメンなのに、気が付くんだ。
優しいとこあるんだ…。
困っているところを助けてくれた。
なんて優しいんだろう。
まるで、神様のようだ。
イケメンを偏見で見ていた。
すると、目の前には生徒がいっぱいいた。
そのうちの一人がイケメンに話し掛けている。
『夏輝くん、下級生を誘導してきたんですか。そんなに面倒見の良い人間だとは思ってもみませんでした。感心です』
背が高く、おかっぱ頭で眼鏡を描けている女子だ。
一見地味かと思いきや、顔立ちは端正だ。
その綺麗な顔で私を横目で見ており、またしてもビクッとさせられる。
『ちげーよ。うちのクラスの転校生。神田』
イケメンがぶっきらぼうに答えると、『転校生』というワードに反応したのか、今度はおもいっきりグッと見られた。
『転校生ですか?』
『は、はい…』
そして、無言で凝視される。
その表情は不思議そうだ。
『マジ?転校生?』
『あー。パン屋さんの?』
傍にいた背の高い男子たちもわらわらと寄ってくる。
囲まれ始めた。恐い。
その中心にいるおかっぱ頭で眼鏡の女子が私を見ながらボソッと呟く。
『可愛い…』
『…え?』
『小さくてなんて可愛らしいんでしょう。神田さん。私はお隣の5年1組の竜堂秋緒って言います。仲良くしましょう』
『は、はい…りゅうどうさん』
急にきた。この人。何でだろ。
しかも、可愛い?
こんな天パ眼鏡の地味モブな私を?
都会の街にも変わってる人がいるもんだ。
すると、その竜堂さんの横にいた一際背の高いイケメンが『おっ。秋緒のツボに入った?珍しい』と、呟いていた。
そのりゅうどうさんはグイグイとくる。
『竜堂は二人いるので、私のことは秋緒と呼んで下さい。ちなみにもう片方のことはゲロしゃぶヤローで構いませんから』
すると、『はぁ?!ふざけんなよ!』と声がする。
その声の主は…私をここに連れて来てくれた、神様のようなイケメンだった。
あ、この人、竜堂っていうんだ。