王子様とブーランジェール
『お。俺達気が合うな?』
『ホント、昔から理人くんとは気が合いますね。新しいパン屋さん、気になってたんです。新しいお友達のご実家としても興味があります』
二人で怪しく笑いあっている…。
すると、他の人達も話を聞き付けたのか、集まり出した。
『え?何?新しいパン屋さん行くって?』
『桃李ちゃんち、私もいきたーい!』
『里桜は来なくていいです。邪魔です。消えて下さい』
『えぇーっ!やだぁー!』
『…おい、秋緒!さっきから里桜をいじめるな!』
『じゃあ夏輝くん、あなたが一緒に消えてあげてください?二人で一緒にドブにでもハマったらどうですか』
『あぁ?この!』
みんながうちにくる…。
お店に来るのは構わないけど…忙しそうだしなぁ。
『夏輝はどうすんの?』
秋緒と理人と同じクラスの凜くんが、ゲロ…竜堂弟くんに問いかける。
『俺?米派だけど行ってみる』
『米派の人間は里桜と一緒に消えて下さい』
『…あぁ?!いちいちうるせえな!』
そうして、秋緒と理人、凜くんに四年生の里桜ちゃん。
あと、米派のイケメン、竜堂弟さん。
私の後を着いて、うちにやってくる。
『へぇー。綺麗な店だな』
『新築だから当たり前じゃね?』
みんな、並んで立って下からうちのお店を見上げている。
『やはり、素敵なお店です。可愛らしい』
いかにも、外国のパン屋さんみたいなアンティーク調の外観に、秋緒は『ほぉー』と声をあげながら、食い付くように見ている。
そして、弟に命ずるのであった。
『…夏輝くん、今すぐダッシュで家に帰って、私のお財布取ってきてください』
『あぁ?!パシりか?コノヤロー!』
『あなたみたいなゲロしゃぶヤロー、使い途が他にないじゃないですか!』
『おまえ、サラッとディスってるけど、だいぶひでえこと言ってるぞ?あぁ?!』
『私、このお店でパンを買いたいんです。うちは夏輝くんのおかげで三食米ですからね。今日こそはパン買っていきますよ』
『あ、俺もパン買うかなー。お金取ってくるか』
理人がそう言って、引き返そうとした時。
店のドアが開いて、袋を持ったお客さんと共に母親が出てくる。
『お、桃李。帰ったの』
『お、おかあさん、ただいま…』
『で、何?今日はお友達連れてきたの?』
私の周りにズラリと並ぶ小学生たちを見て、お母さんは尋ねた。