王子様とブーランジェール
baKed.9 王子様と激熱ロマンティシズム
スタンガンに代わる激アツな存在
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baKed.9
王子様と激熱ロマンティシズム
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『か、返してぇーっ!!』
「ダメだ!…これはおまえが持っていたら危ない!ダメだダメだ!」
「何でー!危なくないっ!…人、死なないって言われたもん!返してぇーっ!」
「ダメだ!何が人死なないだ!このバカ!」
現在、保健室にて。
スタンガンを巡る攻防戦が繰り広げられている。
ベッドから降りずに『スタンガンを返せ!』と、ごねまくるヤツと。
『スタンガンは没収だ!』と、窘める俺。
桃李、これはおまえが持っていても、危険…リスクしか伴わない。
…その理由が、これだ。
【桃李がスタンガンを所持することによる重大アクシデント・インシデント発生のリスク】
①桃李はとてもバカなので、誤ってスイッチを押し、自分で感電。
②桃李はとてもバカなので、そこら辺に忘れて放置したところ、他者に持っていかれる。
③桃李はとてもバカなので、先程の例のように、試しに威嚇放電をし、何の罪もない他者を誤って感電させる。もしくは、威嚇放電しすぎて電池切れ。
④生徒指導のお呼びだしの際、糸田先生に対して使用し、逃走する恐れあり。
他にもあるがな?
こんくらいにしといてやる。
ちっ。親父や秋緒と喋ってるみてえな文面になった。
「それ、私のだよー!狭山さんからせっかく貰ったのにー!」
桃李は現在進行形で、ベッドの上で手をバタバタ動かしてごねている。
まるで、スーパーでお菓子を買ってもらいたがっている子供だ。
…ちっ。しつこいな。
まだ諦めないか?
「…狭山には俺から返しとく!ダメだ!」
「何でー!」
「こんなもん持ってて…自分で感電したらどうするんだ!」
「しないー!」
埒があかない。
何でこんなに頑固になってる?
そんなにスタンガン大事?
『相手を倒す機械』という認識しかないくせに。
こんなもん…いらねえって。
「返して返して返してぇーっ!…夏輝のばか!」
「ば、バカ?…おまえにバカと言われたくないわ!このバカが!」
「うわぁーん!ばかぁー!」
ばか!だって。
かわいいな…。
…あ、いかん。そうじゃねえ。
こんな埒があかない攻防戦を繰り広げるために、ここにいるんじゃねえんだってよ…。