王子様とブーランジェール




この状況。

小笠原の粛正、指導、教育で。

あのイジメ女子たちが、まさに小笠原へと変貌を遂げ。(これを改心というのだろうか…)

桃李に丁寧に謝罪し。

昨日の敵は今日の友となり。

もう、何がなんだかわからんが。

整理すると…ようするに。



小笠原麗華の愉快な仲間たちが、増えた。



と、いうことでしょうか…。




眩暈がした。




あぁ、何てことだ。

このキワモノたちのお仲間が増えるだなんて。

俺を神扱いする連中が増えるだなんて。

もう、カオスとしか言い様がない…!

これからの展開がただ不安でしかないだろが。



せっかく、桃李と彼氏彼女の関係になることが出来たのに…!



…あ。



忘れていた問題が発生した。



小笠原とそのお仲間たちをチラッと見る。



…こいつらは、一応、俺のファンとかいうやつだ。

改心したとはいえ、イジメ女子たちと同じポジションともいえる、ファンという存在。



もし、こいつらが、俺と桃李がそういう関係になったということを知ったら…。

…ひょっとしたら、桃李に敵意を向けるかもしれない。

場合によっては、こいつらは『敵』というものになってしまうのだ。




それは、許されない。




全ての敵から、俺はアイツを…守る。

もう、傷付けることはあってはならない。




「…小笠原、ちょっと」



この愉快な仲間たちのボスに、話しておかねばならない。

言わないでおいたところで、後から知って大きく騒がれても困る。



「夏輝様、どうなさいましたか?」



小笠原は扇子で口元を隠して、俺に笑いかける。

その笑みに、恐ろしさすら感じるが。

そこは、はっきり言っておかねばならない。



「…あのさぁ」

「えぇ、何でしょう?」



なかなか言いづらいが。

少し離れたところで立ち尽くしている桃李をチラッと見てから話す。



「…あの、俺さぁ、アイツと付き合ってんだよ」

「…ええ」



小笠原も桃李の方を見ている。

だから、誰のことを言っているかは解ったはず…。



どんな反応をされるのか、緊張する。

『夏輝様に恋人?!許されないですわよ!』と、なるかもしれない…。

戦争…起きるかもわからない。



だからこそ。今ここで。

はっきりと言っておくべきだ。



< 932 / 948 >

この作品をシェア

pagetop