王子様とブーランジェール
baKed.13.1 王子様と…
++++++++++
epilogue
++++++++++
寒さが一層増したこの頃。
日の入時刻も早くなり、暦はすでに11月の中旬となった。
先日、初雪も降った。
「…おまえ、そのホットコーヒーのカップ持つの、似合うな…」
「…え?そうすか」
ただいま放課後。
明日から臨時合宿のため、今日の部活はミーティングのみで終了。
現在、お互い時間をもて余している木元さんと、学校の傍にあるイオンのフードコートにいた。
「…木元さんだって似合うと思いますよ。持ってみます?」
そう言って、自分の手にしていたブレンドコーヒーのカップを差し出す。
「いやいやいや。俺はメロンソーダでいいわ…お子ちゃまで」
あんた一応年上でしょ。
「しかし…リベンジ出来てよかったわー。優勝したわ…」
「もう半月経ってますよ。いつまで言ってるんですか…」
「だって、このリベンジのためにさっさと進路決めて部に残ったんだぞ?達成感半端ない…」
「年末に全国大会あるんですから、それまで集中切らさないでくださいよ」
「はいはい。おまえ厳しいねー」
先月の末。
全国大会北海道予選、優勝。
見事に優勝した。
うちの高校、二年ぶり二回目の快挙。
昨年のこの予選では、木元さん、蜂谷さん三年生は決勝で惜しくも敗退している。
そのリベンジのために、さっさと進路を決めて部に残留したようなもの。
そして決勝、相手も昨年と同じ、苫小牧の北斗学園七星高校で。(俺が特待生で入学する予定だった高校…)
見事、勝利。
…ちょっとしんどい試合だったので、試合終了後は珍しく俺も喜んでしまった。
ですが。
全国大会は、約一ヶ月後。
グランド納め…している場合じゃない。
雪積もるギリギリまでグランドを使用…っつーか、雪降ってもグランドで練習出来るぞ。
明日の臨時合宿も、練習試合の相手をしてくれる高校がいたので、急遽遠征。
明日、早朝に伊達市の方へと向かうことになってしまった。
その合宿のため、優里マネをはじめ、マネージャーたちはただいま準備に追われている。
さっき、ここイオンでマネージャー買い出ししているのを目撃した。
荷物持ちの手伝いを申し出たが、「これはマネージャーの仕事!」と、あゆりにお断りされる。
てなわけで、時間をもて余している二人、仲良くお茶。
木元さんは、優里マネが終わるのを待っている。
俺は、別件。
桃李が終わるのを待っている。