王子様とブーランジェール
陽も沈んで、辺りも暗くなり、遊び放題の初日終わり。
ホテルに戻り、バイキングで飯を食べる。
ステーキ食べ放題とか、マジ天国なんだけど。
「っつーか、夏輝、おまえ何枚ステーキ食ってんのよ!」
「いや、ステーキだけじゃなくて、おまえの食欲どうなってんのよ…」
調子に乗って食ってたら、陣太と咲哉に突っ込まれた。
「…そうかな」
「いや、そうでしょ?!こんなに食ってその体型って、ある?」
「夏輝は消費カロリー多いからな」
ステーキはマジ美味くて天国なんだけど。
さりげに食べたバターロールはクソ不味かった。
パンダフルのパン食べてぇ…。
「え?8時30分に正面集合?」
「肝試し的なものをやるらしいよ」
「マジか。あと一時間後か」
陣太曰く、『一人フードファイトな夕食』を終え、だらだらと歩きながら部屋に戻る最中。
理人にとある画像を見せられた。
「おまえこんなもんいつの間に…」
俺がベンチに座っており、その回りを女子が取り囲んで談笑している様子の画像だ。
あ、あの時の写真か。
女子、こんなにいたのか。
「ハーレムナイト?」
「…昼だべや」
「いや、nightではなくknightだって」
ハーレムの騎士?ださっ。
「もっとカッコいい写真とってくれや」
「…これ、桃李に見せようかな?」
「………」
悪いが、理人。
それで俺を挑発しようったって、そうはいくか。
今の俺、そんな気分じゃない…。
マイナス思考、続行中なのである。
何の面白みもない、見た目だけの空回り野郎。
あぁ、結論が出てしまった…。
この戦の場で、弱気になってるということ、すなわち、負け…。
…あぁ、負けは嫌だ。負けんの悔しい。
諦めたらそこで試合終了だっつーの。
「…あれ。見せていいの?」
「………」
言い返さないと、理人は面白くない顔をしている。
あのなぁ。俺で遊ぶな。
通りすがりのゲーセンで、歓声が聞こえた。
ここにもうちの生徒がいる。
軽く人だかりになっている。
「何だ何だ?」
「見に行ってみよーぜ」
輪の中を覗きこむと…いた!
大間のマグロ漁師!…ではなく。
「いーやっほーぅっ!ショータイムやってもええかなー?」
松嶋!
隣に…黒沢さんや桃李もいる!