王子様とブーランジェール
しかし、悪態はついたらついただけ。
仕返しの悪夢が待っている。
『ちょっとー竜堂のダ・ン・ナ?あまり桃李を怒鳴らないでやって?竜堂サンダー、弱いものイジメに見えるったら、ありゃしないぜよ!』
ちっ。また松嶋か…。
俺の周りをちらつくんじゃねえよ!
『あー!あー!男のヒステリー、みっともないざますね!竜堂サンダーもきっとヒステリーなんでございましょ?ラーブアーンドピース!!』
ふざけた喋り方して、ムカつく…。
ヒステリー…コラァ!許されないわ!
『え?え?許されないわ!って何が?アナタ、悔しい悔しいばかり言って、地団駄踏んでるだけですものね!そんなんだから、空回りばかりだし、大間のマグロも釣れないのよ!このハーレムナイト!』
は?ハーレムナイト…。
「……夏輝!」
「…わあぁぁっ!マグロ!」
「は?」
気が付くと。
理人の顔がアップだった。
あれ。松嶋は?
「何寝てんの?もう集合時間になるけど」
「え?」
体を起こすと、理人だけではなく、そこには陣太と咲哉もいる。
「おまえ、さっさと部屋帰って何してんのかと思ったら、教科書開いてうたた寝?」
「っつーか、宿泊研修に教科書持ってくんの、普通にキモいんだけど…」
そうだった。
あの後、腹立ってテスト勉強してやろうと思ってベッドの上で教科書読んでたんだっけ。
で、寝ちまったのか。
地理の教科書が悲しくそこら辺にぶん投げられてある。
っつーか、普通にキモいと言われた。
「夏輝、早く行くぞ」
そういえば。夜、再び集合だったか。
肝試し的なものをやるって。
くっそ。寝覚め悪いのに、行きたくねえ。
松嶋が夢に出てくるなんて、相当終わってる。
時間ギリギリで、集合場所に到着。
担任の仙道先生に遅い!と、一言怒られる。
寝坊してすみません…。
そして、クラス全員が揃ったところで、これか、行われる肝試し的なものの説明が行われた。
肝試し的なものは、どうやら、ナイトハイクというらしい。
だが、コースに突っ込みどころがあり。
「…なんかよぉ、そのナイトハイクのコースってのが、やたらと気持ち悪いのよ…」
仙道先生は、呟くかのように話した。