王子様とブーランジェール




き、気持ち悪い?



「ナイトハイクなんてオシャレなもんじゃない。なんかこう、ジメッとしていて不気味でなんつーか…お化けが出そうな?」

「不気味って…」

「俺が学生の時、実際歩いた時は、大木に先に輪が作られたロープがぶら下がっていた…」

「えっ…」

輪がついたロープ…樹海でしょ?!

事件、起きてないの?大丈夫?!

そんなコース、生徒に歩かせる?

安全面、大丈夫?!


「てなわけで、例年通り、男女別れてクジを引く。男女ペアになって、コースに沿って、この気持ち悪い道を歩く」

「男女ペアに意味あるんですか?」

理人がサクッと質問してしまった。

「いやいや。女子二人だと完走できないぞ。気持ち悪すぎて。リタイヤ続出。腰抜け男子二人でも無理かもしんないけど」

だから、肝試し的なものなのか。

「…先生の時はロープの他に気持ち悪い体験あったんですか」

「親友の彼女とペアを組んだんだけど…ベニテングダケを食わされそうになった」

「ベニテングダケ?」

猛毒キノコ…!生えてんの?!

ホント、違う意味で安全面大丈夫か?

っつーか、それ、気持ち悪い体験じゃなくて、先生のしょっぱい体験だろが。

親友の彼女とペアを組んでしまうあたりも、だいぶしょっぱい。

しかし、その安全面につけこんだかのような事件が起きるのであった。




そして、順番にクジを引く。

男バス顧問を担任に持ってしまったがために、担任にこき使われまくっている男バス部員の理人と内藤というクラスメイトが、そのクジの箱を持って皆のもとを歩き回る。



「夏輝、何番?」

「14。陣太は?」

「1…」

「一番最初に死ぬな?御愁傷様」

「マジ一番とか嫌なんだけど…こういう気持ち悪い系、苦手なんだけど…」

俺は別にお化けとかは全然大丈夫なんだけど。

いや、これ、順番がどうとかより、ペアになる女子に命運委ねられてるもんじゃね?

怖い怖いギャー喚く女子とか、面倒みてやらなければならない。

お化けが大嫌いで、暗闇ダメで、ゴジラのように暴れ回る桃李みたいなのとか…。

…桃李、そういやアイツは何番だったんだ?



「おー!桃李!15番なの?俺と一緒一緒!一緒だぜよー!」

「ま、松嶋と一緒なの…」



俺の真後ろで、騒いでいる松嶋…。

隣には、これからのイベントに対してなのか、やたらと顔が真っ青な桃李。

同じ15番の札を持っている…。



…展開、ベタすぎやしませんか?!




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