先生。
ホテルから出て行く背中を見つめた後、私も床に散乱していた服を着た。
もらったばかりのお金を見て、また寂しさに浸る。
「大人って、本当バカ…」
私のその声は、誰に届くこともない。
冷たく冷え切った身体を、見て見ぬ振りして、私はホテルを出た。
家はここから歩いて5分くらい。
仕事をする時は、店長にこうすればチップが貰えるって、教えてもらった。
そうして私は、どんどん汚い大人に染められていく。
いつか本当の私が見えなくなるまで。
路地裏のホテルを出て直進すれば、右手にコンビニが見えた。
24時間営業のコンビニは、こんな朝早くからでも賑わっている。
そんなコンビニの入り口を何となく見ると、タバコを吸ってる人がいた。