先生。
別にこの人のことを知っているわけではないけど、嫌いなんだよね。
このヤニの臭い。
タバコって一種の依存だし、病院行かないとやめられないってくらい中毒なわけでしょ。
何かに夢中になるってそんな楽しいかな。
こんな思い、ただの妬みなだけなのに。
そんなのは、痛いくらいわかる。
私には、何もないから。
「朝から元気だね」
コンビニを通り過ぎようとした時、思わず足を止めた。
そして、声のする方を見れば、そこにはタバコを吸っているあの男がいて、ばっちり目が合う。
「は?私?」
「うん、お前」
バカにしたようにそう言う男。
何なのこいつ?
「こんな時間にホテルから1人で出てくるって、相当元気なんだね」
フーっと煙を吐いて、あざ笑う男に何も言い返す気になれない。