先生。


最後に会った、準備室で同じようなことを言われたのを思い出す。


その時の、先生の顔も…





「距離を置いたのは私のせいだって、あんたに言う事だって出来た。そうすれば別れる前に誤解が解けてたかもしれない」





「それでも、あんたになにも言わなかったのはどうしてかわかる?」





私が顔を上げると、ミラちゃんは悔しそうに唇を噛み締めた。





「先生が…誰よりもあんたを信じてたから」





堪え切れなくなった涙が、音も立てずにこぼれ落ちた。





「これくらいで気持ちが薄れたり、別れたりしないってそう思ってたから」





先生の私への気持ちが薄れていたんだと思ってた。


だけど、本当は先生に別れを告げられる私の方が…はるかに気持ちが薄れてたんだ。

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