先生。



あの時、先生の話を聞くのが怖かった。


だから私は、自分から振って楽な方に逃げたんだ。



私は大丈夫だからって強がった。


私は強いんだよって、言い聞かせた。



どうして、要らない意地なんて張ったんだろう。


なんでもっと先生じゃなきゃダメだって伝えなかったんだろう。





「許さないから、あんたの事…」


「ミラっ、ちゃ…」





視界が霞んで、もう前が見えない。


でもきっと、ミラちゃんも同じだろうな。



先生のいない準備室で私達は泣きじゃくった。





「譲先生と幸せになるまで…っ、絶対…許さないからっ…」





大嫌いなはずなのに。


こんなやつって、思ってたはずなのに。



ミラちゃんの不器用すぎる優しさに包まれながら、私はたくさん頷いた。


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