先生。
「先生」
「何だ?」
「俺、一般で行くわ」
隣にいた司は、私の肩に手を置いた。
「大学なんて奨学金借りれば何とかなるよ。そこでやりたいことも見つければいい」
先を見る気のない私に、司はそう言った。
やりたいこと…
どんなに頭を回転させても、見つけることができなかった。
大学に行けば、また変わる?
「俺、◎◎大学志望で」
司がそう言うと、先生はその大学名をメモした。
それは県内ではもちろん、全国からも人が集まる名門校。
「先生、私なら、どこまで頑張れる?」
自分の偏差値や、自分がどの大学に手が届くのすらわからない。