先生。
「夏目ならー…立花と同じラインか、もう1つ上に挑戦しても大丈夫だと思うけどな」
司の、1つ上…
それは相当頑張らないといけない。
そこに行けば、何か変わる…?
「私、そこ志望で」
「わかった」
そう言って先生は、司の名前の下に、私の志望校をメモした。
「失礼します」
愛想のない挨拶をして、体を回れ右させると。
「夏目」
「…はい」
「津山先生にも…伝えておくな」
そう言った。
「よろしく、お願いします」
副担任の隣にある先生の机。
荷物や教材はまだあるのに。
先生の名前を聞くだけで、先生を思い出すだけで、心が揺れて震えだす。