先生。
前を歩く司について行き、職員室を出ると久しぶりに見る玲太の姿があった。
「潤…」
「久しぶり」
「津山が学校辞めたのって、俺のせいだよな」
「何言ってんの?辞めてないよ」
先生がいない今、私は泣かない。
もう泣かないよ。
「それに私が先生にちゃんと言わなかったから。信頼してるからこそ、ちゃんと話すべきだったのにね」
「ごめん。俺が自分勝手すぎた」
ヘラヘラっと話す私に、玲太は頭を下げた。
玲太にまでこんな顔をさせてしまう。
私って、どれだけ人を傷つけたらすむんだろう。
「彼氏がいるってわかっててキスした。それが津山だって気づいた時も煽るようなことして、お前と津山…両方傷つけた」
多分、そう言ってくれた玲太の目からは、涙がこぼれている。
この蒸し暑い季節、暑い廊下に、綺麗な涙が床に落ちた。