君を知るたびに、恋を知る【短編】
でも私は入学式で彼を一目見ただけで惚れてしまって、それからというもの今の今まで彼の事を影から見つめている。


影からとはいっても、別にストーカーをしているわけではないけれど。


今となっては、後ろ姿を見ただけでそれが夏樹くんだと分かるレベルだ。


例えどれ程の距離が離れていても、彼だけは絶対に分かる。


しかし、彼を見つめていても無表情や不機嫌な表情はよく目にした事は沢山あるのに、笑った顔は一切見た事がない。


見てみたいなあ、と思ってもそう簡単に見られるものじゃないだろう。


だから今、頭の中でだけ夏樹くんの笑顔を想像をしてみようとした。


けれど、脳内に夏樹くんを浮かべるのが妙に照れ臭くなり想像しようとした行為を中断する。
< 4 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop