君を知るたびに、恋を知る【短編】
視線の先に居たのは、中庭を一人で歩いている夏樹くん。


私の教室から中庭まではかなり遠く、かろうじて中庭が見えるくらいの距離だけれど、あれが夏樹くんだというのは分かる。


どれだけ遠くにいても夏樹くんだけは分かるなんて、やっぱり私ってストーカーなのかな。


そんな事をぼんやりと考えながらも、彼から視線は外さない。


夏樹くんは何をするわけでもなく、ただ中庭から校舎に向かって歩いて来ているだけ。


不意に夏樹くんが顔を上げたかと思えば、その場に足を止める。



その時、彼の視線と私の視線がぱちり、と合った。
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