君を知るたびに、恋を知る【短編】





「……あ、…」





顔が紅くないかと尋ねてきたその友達は、私の漏らした呟きに反応して怪訝そうな視線を送っているのが分かる。


でも私は友達の視線を気にしていられる余裕がなかった。


見間違いかもしれない。


そう思ったけれど、今、彼は確かに私の方を向いて笑っている。


微かに眉を下げ、頬を緩めて、やさしく、やさしく、笑っている。
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