星の向こうできみを待っている。
「お兄ちゃん……。あたし、死にたくないよ……っ」
死ぬことを怖いと感じてこなかったのは、あたしが生きたいと思わなかったから。だけど、生きたいと思うだけで、こんなにも死ぬことが怖くなるんだ。
今まで生まれてこなかった感情が、今、ようやく生まれた。
これが、自分の死と向き合うってことなんだ。
「大丈夫。希愛はこれかも生きる。ドナーだって絶対に見つかる」
「でも…。もしも見つからなかったら、あたしは…「死なない!」」
お兄ちゃんは、あたしの言葉を遮った。
その声は力強いのに震えていて、強さと弱さが混ざり合った声だった。
「絶対大丈夫だ…」
握られた左手に伝わる温もりは全くと言っていいほどない。
大きな冷たい手。
声だけじゃなく、手まで震えていた。