星の向こうできみを待っている。


「颯斗の手、冷えてる」


「希愛の手はあったけぇな…」


「カイロ持ってたから。颯斗の冷えた手、温められるかな?」



颯斗の手に比べると、あたしの手は小さい。

こんな小さな手でも、颯斗のこと温められたらいいのにな…。


あたしの熱が颯斗に移って、プラネタリウムに着いた頃には同じくらいの温度になっていた。



チケットを買って、中に入るとシートに腰掛ける。

静かに席が倒れると、視界いっぱいに星空が広がった。



アナウンスと共に変わっていく星空は、本物の星空じゃ見られない光景。

それなのに、まるで本物の星みたい。


…変な感じ。


本物そっくりなのに、実は偽物って。
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