星の向こうできみを待っている。

「こうやって星見ると、あの日のこと思い出すな」


「屋上でのこと?」


「そう。俺たちが付き合った日。初めてのデート」


「初めてのデートは病院の売店でしょ」


「あれはノーカウントだろ」



颯斗の言葉に思わず、ははっと笑い声が漏れた。

確かに、颯斗にとっては何気ないことだったかもしれない。



だけど…。


「あたしは楽しかったよ」


あの出来事がなければ、今がなかったわけだもん。

あたしたちが話すこともなかった。

ましてや付き合うことなんて考えてもみなかった。

あの時の何気ない言葉が、何気ない行動が、今に繋がっている。

そう考えると、颯斗と過ごした時間は全部意味のあるものになるから。
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