星の向こうできみを待っている。
だから、その代わり…。
颯斗の顔を見上げると、目が合った。
長いまつ毛に縁どられた、どこまでも澄んだ瞳。
「なに?」
不思議そうにあたしを見下ろす颯斗。
「あのね…キスしてほしい」
もっと颯斗の温もりを感じたい。
ほんの少しだけでいいから。
涙に交じった声。
それからしばらくの沈黙。
「はや…と?」
思わず名前を呼ぶと、頬に颯斗の右手が触れた。
その手は、触覚として残していた髪を耳にかけると、そのまま頬に添えられた。
街頭に照らされて、きらきら光る颯斗の髪がそっとあたしに近づく。