星の向こうできみを待っている。

「あたしは話すことなんか「いいから座りなさい!」」


突然の怒鳴り声に大きく体が震え、目頭が熱くなった。


言われた通り、ソファに腰掛けると、机を挟んだ反対側のソファにお父さんは腰掛けた。

壁に掛けられた時計を見るとまだ6時過ぎ。

お兄ちゃんが帰ってくるまで時間がある。

要するに、2人だけで話さなければならなく、庇ってくれる味方さえいない。



…怖い。


手足が小さく震える。

胸がざわざわ変な感じ。


「さっきの男が病院で知り合ったとかいう人か」


変わらない、怒りを含んだ冷たい声。


「そうだよ。今朝、お父さんが『機会があったら連れておいで』って言った人」


わざと“連れておいで”の部分を強調させた。

そうすることで、少しだけ強がれる気がしたんだ。
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