星の向こうできみを待っている。

「希愛…っ!」


お兄ちゃんがあたしを呼ぶのを無視して、リビングを出て階段を勢いよく上ると部屋のドアをバンっと閉めた。


1人になった途端、糸が切れたかのように溢れ出す涙。





「みんな嫌い…。大っ嫌い…」


悔しくて、辛くて、苦しくて。

心が張り裂けそう…。



「…はや…と…」


無意識につぶやいた彼の名前は、真っ暗な部屋にむなしく消えて行った。

もう、やだよ…。

颯斗がいれば楽しい時間になるのに、どうして颯斗がいないだけでこんなにも苦しい時間になるの?


少しだけ楽になりたかった。

意識を失えば楽になれる気がした。


引き出しからカッターナイフを取り出すと、カチリカチリと刃を出し、そっと左手首に当てる。

あまり使われていない、新品に近い刃は軽く力を入れただけで簡単に皮膚が切れ、ぷくっと赤い液体が現れた。
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