星の向こうできみを待っている。
こんなんじゃだめだ。
…もっと。
…もっと。
もっと深く切らないと、楽になれない。
一瞬だけ。
今だけでいい。
今だけ、どうしても楽になりたかった…。
「希愛、入るぞ」
ドアをノックする音と同時に聞こえたお兄ちゃんの声ではっと我に返る。
どうしよう…。
この状況、見られたくない。
そんな願いとは裏腹にドアが開き、廊下の光が部屋の中まで入ってきた。
床に滴り落ちた血と涙が混ざった数滴のシズク。
赤く染まったカッターナイフ。
その状況を見たお兄ちゃんの顔つきが一瞬で変わった。
───怒られる。
直感的にそう感じた。