星の向こうできみを待っている。
「さっきはごめんな。父さんから全部聞いた」
お兄ちゃんは、そっとあたしの体を抱き寄せた。
優しい柔軟剤の香り。
伝わる温かさ。
「颯斗もね…、あたしが辛いとき、こうやって寄り添ってくれるの」
あたしが抱えている不安、全部どこかに持って行ってくれるの。
そしたらね、心が簡単に楽になるの。
「そっか…」
たった一言なのに、抱き寄せられているせいかとても安心できた。
「お父さんは何も分かってない…」
頭ごなしに怒鳴って。
颯斗を勝手にこういう人間だって決めつけて。
知ろうともしない。
お父さんの言葉が理解できないように、あたしの気持ちも理解してもらえない。
お互い様じゃん。
それなのに、なんでこんな惨めな気持ちになるんだろう…。