星の向こうできみを待っている。
「颯斗は、強いな…。
あたし、颯斗の考え方、好き…。
元気になれる」
あたしには無い考え方。
きっと、どれだけ考えても、あたし1人じゃこの答えにはたどり着かなかった。
…颯斗でよかった。
あの日、出逢ったのが。
好きになったのが。
初めての彼氏が。
「ありがとうね…。元気出た…」
颯斗の言葉は不思議なほどあたしの中に響く。
その言葉で、簡単に楽になれるの。
さっきまで泣いていたのが嘘みたいに。
『そんじゃ、元気になった希愛にもっと元気になるもの見せてやる』
「なに?」
『窓の外、見てみ』
一瞬なんのことか分からなかった。
窓の外に何かあるの?
不思議に思いながらも、言われた通りベランダに出ると、目の前に広がる光景に思わず言葉を失った。
視界いっぱいに広がる星空。
小さな星がたくさん集まって、空に光輝く海があるみたい。
「…綺麗」
こんな綺麗な星空見たことない。
あの日、病院の屋上で見た星空より何倍もの星が輝いている。
「あたしね、泣いた後に星見るの好きかも」
確かあの日も、泣いた後だった。
違うのは隣に颯斗がいるかいないか。
ただ、電話越しに声を聞いているせいか、それとも同じ星空を見ているせいか、離れた場所にいるのに全然寂しくない。
まるですぐ近くにいるみたい。