星の向こうできみを待っている。

「颯斗は、強いな…。
あたし、颯斗の考え方、好き…。
元気になれる」


あたしには無い考え方。

きっと、どれだけ考えても、あたし1人じゃこの答えにはたどり着かなかった。


…颯斗でよかった。

あの日、出逢ったのが。

好きになったのが。

初めての彼氏が。


「ありがとうね…。元気出た…」


颯斗の言葉は不思議なほどあたしの中に響く。

その言葉で、簡単に楽になれるの。

さっきまで泣いていたのが嘘みたいに。


『そんじゃ、元気になった希愛にもっと元気になるもの見せてやる』


「なに?」


『窓の外、見てみ』


一瞬なんのことか分からなかった。

窓の外に何かあるの?

不思議に思いながらも、言われた通りベランダに出ると、目の前に広がる光景に思わず言葉を失った。


視界いっぱいに広がる星空。

小さな星がたくさん集まって、空に光輝く海があるみたい。


「…綺麗」


こんな綺麗な星空見たことない。

あの日、病院の屋上で見た星空より何倍もの星が輝いている。


「あたしね、泣いた後に星見るの好きかも」


確かあの日も、泣いた後だった。

違うのは隣に颯斗がいるかいないか。

ただ、電話越しに声を聞いているせいか、それとも同じ星空を見ているせいか、離れた場所にいるのに全然寂しくない。

まるですぐ近くにいるみたい。
< 208 / 397 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop