星の向こうできみを待っている。

「これを渡しに来た」


渡されたのは、あたしのスマホ。

ここにないと思ったら、やっぱりお父さんが持っていたんだ。


「いらない」


こんなもの今さら渡されても困るだけ。

今のあたしには必要ない。

それともなに?

颯斗とのメッセージ見返して、2人の写真眺めて、もっと苦しめばいいと思ってる?

文化祭の日、スマホを見せたら『ナイス』って言って八重歯を見せて笑う颯斗を今でも覚えてる。初めて撮った1枚目の写真だって。


「颯斗との思い出なんか持ってこないでよ…っ」


お父さんのお望み通り、颯斗とは別れた。

もう満足でしょ?

これが、お父さんが望んだ結末でしょ?

これであたしは幸せになれるの?


───絶対になれないよ。

なれるはずないんだ。
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