星の向こうできみを待っている。

一番大好きな人と出逢って恋をして。

結婚して、温かい家庭をつくって。

よぼよぼのおじいちゃんおばあちゃんになるまで一緒にいる。

それは決して高望みなんかじゃない。

手をのばせば誰にでも訪れる幸せ。

それなのに、あたしには一生訪れない幸せ。


「何年も医者をしている先生は、多くの患者と出会って、多くの命が亡くなっていくところを見てきた。別にあたしの命1つ亡くなろうがなんとも思わないでしょ…」


たとえば夜空で輝く星が1つなくなったところで誰が悲しむの?

誰が気づくっていうの?

それと同じだよ。

何人もの患者がいるこの病院で、命が1つ亡くなったところで誰が悲しむっていうの?

数ヵ月後、数年後、あたしの存在なんてなかったものになる。

新しい患者に目を向け、昔の患者なんて簡単に忘れていく。

医者なんて、みんなそんなもんだよ。
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