星の向こうできみを待っている。

「そんなことない。私は、どの患者も忘れない。懸命に病気と闘って、夢に向かって生きようと必死にあがく人を忘れたりなんかしない」


「それじゃあたしは!?逃げることしかできない。生きる意味も見つけられず、何もないままあがけっていうの!?」


それになんの意味があるって言うの?

必死にあがいても、結局最後は死ぬ。

何も手に入れられないまま、無になる。


颯斗はあたしのすべてだった。

出逢ったのは本当に偶然だったかもしれない。

だけど、その偶然が連れてきたのは、あたしにとってかけがえのない時間。

颯斗にとっては何ともない出逢いだったかもしれない。

大勢いる女の1人に過ぎない。

それでも、あたしは、本気で愛していた。
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