星の向こうできみを待っている。

「入っていいのか分からなかった…」


「いいよ。そう言わなかった?」


言ってないよ!と心の中で思いつつも、口には出さなかった。


颯斗の部屋は、黒と白で統一されており結構シンプル。お兄ちゃんの部屋は、教科書や参考書でいっぱいだけど、この部屋は教科書さえも見つからない。

勉強机はあるけれど、漫画や雑誌が積まれており勉強しているようには見えなかった。


「とりあえず座んな」


「うん」


部屋の中央に置かれた、黒のテーブル。

その隣にちょこんと座った。


「あのさ…」


口を開いた時、目の前に置かれた棚の上にあるモノを見つけた。それは、文化祭の時に撮った写真。写真立てに入れ飾られてあるそれの周りには何も置かれておらず、こうやって見るとよく目立っている。


「希愛との思い出で形になってるもん、あれしかねぇから」


あたしが写真を見ていることに気づいたのか、隣でぼそっとつぶやいた。
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