星の向こうできみを待っている。

「懐かしいな…」


颯斗も同じように空を見上げた。

昔は晴れの日が嫌いだった。

雲一つない空はまるで嘲笑われているみたいで。


手を繋いで歩く親子。

車いすに乗る患者さんとそれを押す看護師さん。

その距離が全部近く感じて、誰もいないあたしをよりいっそう孤独にさせた。


だけど、雨の日は、黒くて厚い雲が嘲笑う空を隠してくれる。

1人1人を隠すように傘が覆っている。

近く感じる人との距離も、傘のせいで遠くに感じた。

1人1人が孤独に見えて、あたしと同じだって錯覚させてくれた。
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