星の向こうできみを待っている。

「先生…ごめんなさい。
あたし、酷いことたくさん言った……」


「娘の人生は7年間で終わってしまったけれど、私と妻には一生分の幸せをくれた。思い出すのは、目を閉じベッドで眠る姿じゃない。幸せそうに笑う姿なんだ。人は幸せになるために生きるんじゃない、誰かを幸せにするために生きるんだと教えてくれたのは娘だった」


誰かを、幸せにするために生きる…。

あたしは、今までどれほどの人を幸せにできただろう。

残された時間の中で、あとどれほどの人を幸せにできるだろう。


「先生……。一つ聞いてもいい?」


何度も聞いたこと。

だけど、ちゃんと向き合って冷静に受け止めたい。


「あたしはあと、どのくらい生きられますか?」


「前にも言ったように、君の心臓は今動いているのが奇跡みたいなものだ。今は落ち着いていても、次発作が起これば止まってもおかしくない。」


それでも、まだあるんだよね?

残された短い時間だけど、確実に時間はある。
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