星の向こうできみを待っている。
「話はあとだ、とりあえず行くぞ」
「いくってどこに…。……てか、なにしてっ!?」
何も言わないまま、颯斗はあたしをお姫様抱っこしそっと病室から連れ出した。
たどり着いたのは病院の屋上。そこにあるベンチの上にあたしをそっと下した。
「何してんの!?」
「誘拐?」
罪悪感なんて感じていない涼しい顔。
そうじゃないでしょ…!?
「先生にすげーお願いしたら『勝手にしろ』とだけ言われた。看護師とかにバレなきゃ問題ねぇよ」
バレない確信なんてないのに。
怒られるかもしれないのに。
ただ、颯斗がいるせいか、不思議と怖くなかった。
すごい悪いことしてるのに、冒険しているみたいでドキドキしてる。