星の向こうできみを待っている。

「話はあとだ、とりあえず行くぞ」


「いくってどこに…。……てか、なにしてっ!?」


何も言わないまま、颯斗はあたしをお姫様抱っこしそっと病室から連れ出した。


たどり着いたのは病院の屋上。そこにあるベンチの上にあたしをそっと下した。


「何してんの!?」


「誘拐?」


罪悪感なんて感じていない涼しい顔。

そうじゃないでしょ…!?


「先生にすげーお願いしたら『勝手にしろ』とだけ言われた。看護師とかにバレなきゃ問題ねぇよ」


バレない確信なんてないのに。

怒られるかもしれないのに。

ただ、颯斗がいるせいか、不思議と怖くなかった。

すごい悪いことしてるのに、冒険しているみたいでドキドキしてる。
< 354 / 397 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop