星の向こうできみを待っている。
「あのね。颯斗にさ、お願いがあるんだ」
これ以上泣き顔は見られたくないため、颯斗の胸にうずめたままつぶやいた。
「なに?」
頭の上から聞こえる低い声。
「あたしが死んだら、後ろは振り向かず前を見てほしい」
無意識なのか意図的か、あたしを離す。
あたしと颯斗との間には数十センチの距離ができた。
思わず顔を上げると、動揺のせいか揺らいだ瞳と目が合った。
「何、言ってんだよ…」
「あたしは颯斗からたくさんの幸せをもらった。もう、十分だから。今度は、違う人を幸せにしてあげて」
これから先の未来、颯斗は生きていく。
きっと、あたし以上に愛する人が現れるから。
その人と温かい家庭をつくって、家族が増えて、よぼよぼのおじいちゃんになるまで一緒にいる。