星の向こうできみを待っている。
「こんなにも幸せな思いになるなら、生まれてきて良かった。生きて良かったなぁ」
神様があたしに与えた幸せは、きっと僅かなものだろう。
だけど、あたしにとっては十分すぎる幸せだった。
「お父さん……大好きだよ」
「お父さんも、希愛が大好きだよ。生まれてきてくれて、ありがとうな」
『生まれてきてくれて、ありがとうな』
その言葉はあたしの中に深く刻み込まれた。
こんなに脆い命でも、感謝されるなんて思ってもみなかった。
「父さん、ちょっとお茶買ってくるから」
そう言って、逃げるように病室を出ていった。
もっと、話したいことあったのになぁ。
ちょっと残念だけど、もう、いいかなぁ。
どれだけ話しても、満足なんて出来ないもん。
体力がだいぶ落ちたせいか、はしゃいだせいか、軽く目を閉じただけで、簡単に眠りについた。