星の向こうできみを待っている。
「映画にしようぜ!それなら振り回さねぇし、颯斗も来てよし!」
「そういえば、今人気の映画あるよな。なんだっけ…」
「あれだろ、『天国でキミに逢う』ってやつ。クラスの女子が感動したって騒いでた」
「それ、どんな話なわけ?」
「主人公が生まれつきの心臓病で、その彼女を支える彼氏の話。ネタばれすると、大きな手術の日、彼氏が花束持って見舞いに行くんだよ。だけど、行く途中で事故に遭って死んでさ。そのあと、彼女も手術に失敗して死ぬって話」
「あなたが先に行くから私はさみしくないわっ!すぐ、逢いに行くから待ってて!!ってやつな」
「お前、演技ヘタかよ」
さらに声のボリュームをあげ、げらげら笑うみんな。
あたしは、話に入れず…というより入りたくなかった。
“天国”
“心臓病”
“手術”
彼らの会話で頭に残る言葉。
下唇を噛み締め、そのまま俯き、目頭が熱くなるのを堪えることしかできない。
数秒前まで楽しいと思っていたのは事実。
それなのに、なんでこんな気持ちになるの?