星の向こうできみを待っている。

「お前らもう帰れ」


ドスのきいた低い声。

その声は紛れもなく颯斗のもの。


思わず顔を上げ彼のほうを見ると、今までに見たことがないくらい怖い顔をした颯斗がいた。


「声でかいし、病院でそんな話すんな」


相手を睨みつけるかのような鋭い目つき。

そこにいるのは颯斗なのに、颯斗じゃないみたい


「んだよ、急に…」


1人がボソッとつぶやいたとき、


「あなたたち何騒いでるの!!ここは病院ですよ!」


と、乱暴にドアが開けられ、カンカンの看護師さんが入ってきた。


「すんません!俺らもう帰るんで!」


「んじゃ、またな」


みんなが病室を出て行くとさっきまで騒がしかったのが嘘みたいに静かになった。
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