星の向こうできみを待っている。

ただ『お前らもう帰れ』って一言で苦しみが無くなったかのように胸が軽くなった。助けられたような気がした。


一粒の涙が頬を伝い、Tシャツにシミを作る。

あれ…?

あたし、泣いてる?


「希愛…?」


じっとあたしをみつめる颯斗の目は、どこまでも澄んでいて。

一度合うと、不思議とそらせない。


「颯斗…、あたし…」


じわっと体の奥底から込み上げてくる感覚。

一瞬で、目の前の景色がぼやけた。
< 59 / 397 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop