星の向こうできみを待っている。

「……泣いた?っていうより、今も泣きそうか」


颯斗の困った顔。


じわっと、さっきよりも目頭が熱くなる感覚に襲われた。




颯斗に出逢って何度も感じた感覚。

その直後に包まれる温もり。

そのたびに苦しくなって。

同時に好きになっていく。

坂道を転がるように、どんどんきみに落ちていく。




「………好き」



その言葉を口にした瞬間、一筋の涙が頬を流れた。

たった二文字の想いなのに、そこには二文字以上の想いがある。



「…え?今、なんて…」



まっすぐな瞳が揺らぐ。

涙越しでも、颯斗が動揺していることが分かった。
< 79 / 397 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop