星の向こうできみを待っている。

「さっきはどうも」


お昼過ぎ、外はジリジリと夏の日差しが差す時間帯。

自販機で新しいお茶を買っていると、ユウくんのお兄さんが来た。


「弟くん、手術するんだね」


「腫瘍がみつかったからな」


「そっか…。大変だね」


始まる沈黙。
話題なんてないから。
しょうがない。


「あのさ…」


数十秒ほどの沈黙を破ったのは彼の方。


「ん?」


「あ、いや…。やっぱりいい」


「なに?気になるじゃん」


再びはじまる沈黙。
ただ、さっきほど長くない。
数秒の沈黙後、彼の唇がゆっくり動いた。


「…本当に病気なのか?」


…え?

予想外の問いかけに思わず言葉を失う。


「いや、すげー元気そうだから。あ、手術したって言ってたからもう平気なのか。わりぃ、変なこと訊いた」


勝手に自問自答する彼がなんだかおかしくて思わず笑ってしまった。

それを不思議そうな目で見る彼。


「ねぇ……。ちょっとデートしない?」
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