愛しの先生〜キラリ輝くリング〜【上】
「…先生の部屋って何もないよね?」
リビングに入ってあたしの口から溢れた一言。
「最初の一言ってそれか?」
先生は、苦笑いしながらあたしの荷物を持った。
だって本当に何もないんだもん…
あるのは、白いソファとその前に置かれてるデカいテレビ。
あとは小物とかがあるだけ。
本当に何もない…
まぁ、綺麗だからいいんだけどね?
「座ってて?俺、荷物置いてくるから。」
「うん!」
あたしは、先生が出ていったのを確認して小さな本棚に手をかけた。
勿論、探してるのは“あの”本。
「…ない。」
あまりにも綺麗に並べてあるから丁寧に探し出す。
…うーん。。ないか…
「おい。何やってんだ?」
ギクッ
後ろから低い声がした。
明らか怒ってるよね??
「すみません…」
ゆっくり先生の方に体を向けるあたし。
「たく、意味分かんないことしてんじゃねぇよ…」
あたしは、優しく先生に抱き締められた。