恋する剣士
ここから

ー明ー

明 ーあかるー

そう呼ぶ者は、いなかった


かつて、明と呼んでいた両親は

「アキラを宜しく頼む」

そう言って、昴に引き渡した



人に甘えた記憶は、ない

両親も昴も厳しかった

それを嫌だとか、辛いと思ったこともなかった



何もない空っぽの器だった








昴に育てられ、武術も学問、舞踊、料理、裁縫、琴
色々できるようになった

町に出る度に、笑い、泣き、怒り、喜び
人々が感情を表現する様に、違和感をもった


自分には、ない


だから、人を見ることが好きになった



たくさんいる人の中で
いつしか、ただひとりを目で追うようになった


初めて



昴にお願いをした








「あの道場に通いたい」







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