恋する剣士
御所の人々を見ていても
不思議と楽しくなかった

「はぁ~ 面倒くさい」


そう呟けば、昴の手が止まる


「外に出たいか?」


昴の方へ視線をやる

まだまだ大量にある武具

「ねぇ、それ手伝わせてよ」

「……いや、これは俺がする」

「そう」


再び、庭に視線を戻した

それから、昴と会話をしなくなった

他の人と会話をしないのは、昔からだったが
昴と会話をしないのは、初めてだ


牢にひとりでいるときは、寂しいとか
そんなことは、思わないのに

近くにいる昴が、わたくしを遠ざける様は、寂しい



わたくしの我が儘で昴を繋ぎ止めた



もしかしたら、昴は…

やはり、わたくしが嫌いになったのかも






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